先天性心疾患


先天性心疾患に関しては心臓血管外科医との連携を大切にし、術前術後のディスカッションは欠かしません。当院の特色としては、心臓血管外科・麻酔科はもちろんのこと、他科及び他種職との連携が迅速かつ密に行えるところです。毎週行っているカンファレンスも小児循環器グループ、心臓血管外科、麻酔科、病棟看護師、ICU 看護師、NICU 看護師、手術室看護師、臨床工学技士が参加しています。小児科の他のグループとの連携も同様です。
新生児グループには、新生児期の全身管理や先天性心疾患合併の超低出生体重児・極低出生体重児の管理を、神経グループには、周術期の中枢神経合併症の管理や、長期の発達のフォローを、腎臓グループには、周術期の透析・血漿交換など血液浄化療法を、消化器グループには、フォンタン術後の肝線維症の管理などを連携性して行っています。心疾患に限らず、患児のトータルケアが可能となっております。


さらに、患児の家族のサポートも充実しており、リエゾン精神看護の専門看護師に介入していただき、患児家族の背景も把握し診療にあたっております。また院外においては、関西医科大学小児科循環器グループ・新生児グループ、高槻病院小児科と連携して診療しています。手術症例を紹介していただき、退院後の管理は同院にお願いするという診療体制をとっております。その為に適宜、合同カンファレンスを行っています。
先天性心疾患に携わる我々小児科循環器医師の役割としては、診断をより正確に細かく行うこと、その為にも検査はquality の高いものにして正確な評価を行うこと、術前の状態をよりよい状態に保ち、最適の手術時期・方法を外科医に提案すること、術後のフォローを継続し適切な治療介入を行い移行期医療を進めていくことが大切だと考えています。年間症例数は少ないですが、1 人1 人の患者さんを大切に診療させていただいています。
胎児診断


胎児診断に関しては、産科医師と協力し合って先天性心疾患に対する出生前診断に力を入れています。疾患が重症であればあるほど、出生前診断が重要です。我々は出生前から正確な先天性心疾患の診断を行い、より良い状態で出産、手術に臨むことが大切と考えています。2015 年度より日本胎児心臓病学会の専門施設にもなりました。
胎児診断の内訳や胎児心臓超音波検査施行数に関しては以下のホームページをご参照ください。
不整脈


不整脈の診療にも力を入れています。学校検診による不整脈の検出・管理、遺伝性不整脈の管理をはじめ、様々な不整脈に対応しています。
頻脈性不整脈における電気生理検査・カテーテルアブレーションを随時行っています。上室性頻拍・心室頻拍など先天性心疾患のない患者様の不整脈のみではなく、先天性心疾患に合併した複雑な不整脈に対する難しいカテーテルアブレーションも可能です。WPW 症候群や房室結節回帰性頻拍では 95% 前後の成功率です。また、徐脈性不整脈に対しては、心臓血管外科・循環器内科と連携し、ペースメーカー・植え込み型除細動器植え込みと管理を行っております。
成人先天性心疾患
当院では、小児循環器医と循環器内科医が、共同で成人先天性心疾患専門外来(毎週水曜日)を行っており、必要に応じて、心臓血管外科医、産科医、看護師、ソーシャルワーカーなども参加し、チーム医療を推進しています。数少ない日本成人先天性心疾患学会による専門医修練施設の認定を受けています。
後天性心疾患
川崎病はもちろんのこと、心筋炎や心筋症による心不全の治療も行っています。特に劇症型心筋炎や心不全の急性増悪の症例に対しては、心臓血管外科医や循環器内科医、麻酔科医、臨床工学士の協力のもと、いつでも膜型人工肺体外循環(ECMO)を装着することが可能です。




スタッフ
岸 勘太
1999年 大阪医科大学卒
大阪医科薬科大学 小児科 講師
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医
日本肺高血圧•肺循環学会 小児肺循環研究部会委員
日本小児循環動態研究会幹事
尾崎 智康
2000年 大阪医科大学卒
大阪医科薬科大学 小児科 助教
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医
日本不整脈心電学会専門医
小田中 豊
2006年 大阪医科大学卒
大阪医科大学 小児科 助教
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医
日本胎児心臓病学会胎児心エコー図認証医
日本小児心筋疾患学会幹事
蘆田 温子
2009年 岩手医科大学卒
大阪医科薬科大学 小児科 助教(准)
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医
日本小児科学会 JPLS 講師
町原 功実
2020年 大阪医科大学卒
大阪医科薬科大学 小児科 医師
水岡 敦喜
2020年 高知大学卒業
大阪医科薬科大学 小児科 大学院生
片山 博視
1983年 大阪医科大学卒
大阪府済生会茨木病院 小児科 部長
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医•指導医
日本超音波医学会 超音波専門医•指導医
日本小児循環器学会 特別会員
日本心臓病学会 特別正会員
日本川崎病学会 名誉会員
清水 達雄
1976年 大阪医科大学卒
日本小児科学会専門医•指導医
日本小児循環器学会専門医
日本循環器学会専門医
診療内容
臨床実績(すべて年間のべ件数)
循環器疾患入院患者数 | 196 名 |
心臓カテーテル検査 | 62 件(うちカテーテル治療11 件、カテーテルアブレーション13 件) |
心エコー検査 | 1040 件 |
胎児心エコー検査 | 160 件(うち先天性心疾患106 件) |
研究内容
研究に関しては、小児頻脈性不整脈に対する抗不整脈薬の効果に関する研究、先天性心疾患術後や肥満、ダウン症における血管内皮機能に関する研究、18 トリソミー児における心臓手術に関連した臨床経過や心機能などの問題点に関しての研究、関西大学システム理工学部の先生方と協力し先天性心疾患の血行動態に関連したシミュレーションや評価に関する研究などを行っています。
留学先
国内外へ留学し、修行を積んだ医師が集まっています。各々の施設で学んだことを、次は自分たちで力を合わせて実践し、よりよい医療を目指して頑張っています。
国内留学先
- 東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科
- 長野県立こども病院 循環器小児科
- 大阪市立総合医療センター 小児不整脈科
海外留学先
- トロント小児病院(カナダ)
- Institut Jantung Negara. Paediatric & Congenital Heart Centre(マレーシア)